花を生ける者はこの空間に月の光を思い描き・・・(池坊専永「いけのほとり」より)
吹き抜ける風を感じ、虫食いの葉があればそこに遊ぶ虫の声を聞く。見えないものを見、聞こえない音を聞くのである。・・・この1年生を見ていてそんな言葉を思いだしました。
百花物語こども花教室では、ただ、お花を楽しく綺麗に生けられるようになることだけが目的ではありません。例えば生けた花に風を感じ、揺れる姿を思ってもらいたいのです。嬉しいことにこの1年生は、オンシジュウムの黄色に月の光を感じ、緩やかなカーブに三日月を見出しています。
遠くに見える白い雪山、足元には春。緑の山も近くに見えます
デルフィニウムで白い雪と足元の春の花を表現し、アスパラガスで近くの山を表現しているそうです。真・副とか・・・役枝のお話はもちろん大切なことです。でも、1年生の彼のことを考えると、剣山に慣れ、お花を生けることが楽しい方がまだまだ優先順位が高いかな。なので今はまだそんなお話はしていません。
もうしばらくの間、見えないものを見る力と聞こえない音を表現できる力と心を育みたい、そう感じた時間でした。